薬剤師

【薬局実習】これだけ事前に知っていれば安心、実習期間中に学ぶこと、実習前に知っておくべきこと10選

6年制薬学生の長期実習は薬局と病院で各11週間(5か月)あります。その長い期間で薬剤師としての業務とは何か、しっかりと学んでいきます。いつもの学生同士の勉強とは違い、本当の職場にて薬剤師業務を体験、学習します。

いつもは知っている薬局でも、内部から見れば一味も二味も違いが見えてきます。薬局で就職を決めようと思っていた人も実際に薬局実習をした結果、”あっ薬局では働きたくない”と思い就職先を変更した人も多いです。反対に”自分が実際に働いたらここを変えて業務をしたい”という希望に満ちて実習を終える学生もいます。

どちらにしても、合計約5か月という実務実習は、薬学生の中でも自分の将来を見つめるとても重要な機会になります。

事前に実務実習ではどのようなことを行うのか、実習前にしておくべきことを記載するので実習にぜひ役立ててください。

薬局実務実習で行うこと

カリキュラムに沿っていくと膨大な項目があり、個々の項目に到達目標が設定されています。今回は、現在の薬剤師業務の根幹に当たるものをピックアップして記載します。

調剤業務 計数・散剤・水剤・一包化

配属初日にほぼ100%とするであろう計数業務、ただ棚にある薬剤を取って輪ゴムで止めてバケットに入れて終わりではありません。

普通薬や劇薬、向精神薬など規制に沿った棚の配置やアイウエオ順ではなく薬効順に並んであったり場所を探すのに苦労するはずです。1週間みっちり計数調剤を行うとある程度は場所の把握もできてくるでしょう。

薬局毎に調剤ミスをなくすために独自のルールが設定されているので、複数薬局で実習を行う場合は各店舗の違いを学びながら業務を行いましょう。

学生実習生

うわっ輪ゴムの留め方までいちいちこだわってるよ。

1錠だけで渡しても良くない?

指導担当

確認しやすくするためにしっかりと錠剤のシートを合わせて留めるんだよ。

面倒だと思っても、ミスをなくすためにも決められたルールに従うんだよ。

監査業務

処方監査で医師の処方内容が正しいのか添付文書と患者情報と照らし合わせながら、確認します。

その後、調剤が終わると最終監査へ、そこでは実際に調剤されたものが正しいものか、しっかりと確認し、再度患者さんにその薬を渡していいのか最終チェックを行います。

チェックの仕方も各薬局で異なる点もありますが、医師の指示通りに調剤が為されているのかが重要な点です。

学生実習生

処方薬の数が合ってるから、問題なし!

監査って簡単じゃん!ハンコ押すだけ!

指導担当

本当にそれだけでいいのかな?

患者さんが安心、安全に服薬できるように些細なこともしっかりと確認するんだよ!

以外に疑義照会することは多いんだよ。

服薬指導=投薬業務、対人業務

バイトしたことがある学生はすんなりと患者対応ができるが未経験だとなかなか難しいものです。

患者としてなら素の自分で話を聞けばいいのですが、働く側として対人業務をする場合はそうはいきません。

患者様に寄り添ってしっかりと話を聞ける姿勢、声色を変える必要があります。

実習時間中では事前に指導担当者から、患者さんに同意を得て、指導担当者同席の上、服薬指導を行うこととなりますので、過度な心配はいりません。

いきなり服薬指導へいっても大丈夫なように、普段からレストランやお店などで店員さんの対応の仕方を観察しましょう。

特に以下の敬語は自分の言葉として使えるようにしておきましょう。

わかりました→かしこまりました

ごめんなさい→失礼いたしました

学生実習生

いや、今までバイトしたことないから対人業務できないの当たり前です(ドヤッ)

指導担当

出来ないのは当たり前

だけど、先輩の服薬指導を見ながら自分なりに工夫していきましょうね

薬歴記載 SOAP形式

緊張の服薬指導が終われば最後はゆっくり記録を書きます。

大学でも学んでいる通りに記載すればいいのですが、実際の現場では丁寧な薬歴の記載をする余裕がないところもいるのでギャップを感じてしまいますが、自分の薬歴を次回見たときに何について確認して服薬指導をすれば良いか組み立てられるような未来に繋がる薬歴を作成してください。

決して、テンプレート通りの薬歴にはならないように気をつけましょう。

学生実習生

S は患者が言ったこと

O は処方内容

A は継続服用問題なし

P は症状の確認

これで完璧だね!

指導担当

確かにSOAP形式で書けているけど、個々の患者様に合わせて次につながる薬歴を記載しましょう

仕事の心得(実習担当者による)

薬剤師業務は一見するとあまり汚れ仕事がなくそれなりに給与をもらえる恵まれた職業と思われるかもしれませんが、患者対応や、医師、看護師との間で板挟みに合うこともあり、ストレスがかかる職場です。

その中でも自分なりのやりがいや目標を持ってしっかりと実習を終えられるようにしてください。

僕は、業務終了後薬局長に呼び出され横に座りながら、”仕事”について約2時間説教のようなものを受けました。今思い出してもぞっとしますが、それがあるから今は大抵のことがあっても気にしなくなりました。

学生実習生

ほんと、とりあえず単位だけ取れればいいんで

指導担当

そうは言わずにせっかくの薬剤師として現場を体験できるチャンスなので、いろんなスタッフの話を聞いてみてね

実習前に知っておくべきこと

学習の延長線上ではない=就職したつもりで何事にも取り組む

実際に働いている職場に体験学習をするのであり、実際に関わるの現場で日々働いている薬剤師、調剤事務であり、相手をするのは病気で苦しんでいる患者様です。

初めての実務実習になるのでいくら4年時のOSCEを通過したからといって、右も左もわからない状況ですが、決して”指示待ち”にならないように、何を学ぶのか自分の中で日々目標を決めて取り掛かりましょう。

学生実習生

実習期間中の給与ほしいっす

指導担当

本番までの練習だと思って頑張りましょう。

長い長い実習期間だけど、得られることも大きいはずです

実務実習指導担当者はいるが、通常業務の合間に指導するため、学生の隙間時間が多い=課題を与えられることが多い

実務指導担当者の指導に沿って、指導カリキュラムを実施していきます。計数調剤や監査などは当然ダブルチェックをするため何度もする機会はあるが、服薬指導などはいきなり一人で全部やらせてもらえるわけではなく、事前に打ち合わせを何度もしながら実際に患者様の同意を得ながら服薬指導に当たるため、あまり機会がありません。

口頭のみの説明で終わってしまう業務内容もあり、すべての業務を満足いくまで網羅することは難しいです。

実務実習指導薬剤師の方も常に学生にみっちり付いて指導することはなく、通常業務と並行するため負担も大きいです。

学生には一日の終わりにその日に行った実習内容をまとめる日報や課題を与えられるため、うまく時間のやり取りをしながら日々を過ごす必要があります。

私の場合は、実際に院内に配布される”DIニュース”を作成(10回以上のダメ出し)、”服薬指導に当たる患者様のアプローチを考える(数回のDM教育入院歴あり、高血糖、運動なし)”、”実務実習最終日に医師、看護師に向けてプレゼンをするための準備”など様々なことをやらせていただき、あっという間に時間が過ぎてしまいましたが、中には何もすることがなく、暇だった学生もいるため、時間つぶしの方法をある程度考える必要があります。

学生実習生

毎日レポートだよ、あんまり相手してくれないのね

指導担当

ずっと付きっきりにはいられないけど、課題はたくさん与えるよ!

自分でしたい勉強があれば積極的にしてね

若手薬剤師と仲良くなると、就職に有利になる?

大きい病院やチェーンのドラッグストアなどではスタッフが多く、年齢の幅も広いです。

実習中に1-2年目の薬剤師の方と交流する機会があれば積極的に行いましょう。

実習した病院や薬局で就職を決める学生も少なくありません。一通り教わった場である程度知っているスタッフと働けるのは学生も安心できるからでしょう。

実際に実習に来ていた学生4人のうち2人がうちに就職を決めたこともありました。

学生実習生

先輩方めっちゃ楽しそう

指導担当

年代の近い先輩薬剤師は貴重です。

実習終わりにご飯に連れて行ってもらおう!

仕事って案外こんなもんかって思う or こんなに大変なことをしているんだと思うかの2択

11週の実習期間も半分を過ぎると、実習にも慣れが生じます。はじめは知らないことをイチから詰め込まれていたことが数をこなすことによっ知るから理解できるへ変わります。

ただ言われていることをただ文字通りしている場合は、こんなものか、退屈だなと感じますが、与えられたことから自分なりに次に必要なこと、大事なことを考え実行すると同じ内容でも得られるものは変わります。

学生実習生

ルーティンだね、仕事はらくちんだ

指導担当

言われたことをしているだけなら、簡単だけど、自分なりに考えて行動するのは難しいことです

どの施設でも必ず超絶できる薬剤師がいる

適当な薬剤師もいれば(実はできる人もいる)、知識をものすごく持っている薬剤師も様々です。大きな施設であればあるほどそのような人たちがいるのでどのように研鑽しているのか聞いて自分の糧してください。

まとめ

長い薬局実習において、事前準備はそこまで必要ではありませんが、ある程度予習して何を学んで今後に役立てるのか知っておくと実りの多い実習になります。国家試験を突破してきた方たちなので実際の業務がどのように国家試験に出題されているのか関連付けて説明してくれる人もおり、体験して学んだことは忘れにくく、定着するので上手に利用して長い実習を乗り切りましょう。

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Teitaka
薬学部を卒業後、調剤薬局、総合病院の勤務を経て30歳を機に海外で働くことを決意、海外経験なし、語学力もなし。 そんな自分が試行錯誤を繰り返し、国際NGOで働けるまでに語学力をup。しかし現在でも英検2級程度の実力。さらなるレベルアップを目指し、次への目標を定めて今一度本格的に英語学習を再開。その備忘録をここに記します。 薬剤師として国内、国外で働いた経験を活かして転職についてもアドバイス。 【経歴】 ・6年生薬学部一期生 ・病院薬剤師: ケモ担当、病棟薬剤師管理者 ・調剤薬局: 管理薬剤師、薬局長、支局補佐 ・国際NGO: 薬局管理者
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