海外で働く

【薬剤師】国際協力と人道支援、日本の薬剤師は海外で通用するのか?

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日本の薬剤師は、世界の薬剤師と比べて違いはあるのだろうか?結論は”人による”だ。

よく米国の薬剤師は処方権があり、ある程度の権利が与えられており、米国人の中でもなりたい職業の上位に挙げられる。ちなみに日本の高校生のなりたい職業の上位に医師や警察官、YouTuberなどが挙げられ、薬剤師は9位(ベネッセ教育総合研究所より引用)。

日本の薬剤師もしっかりと医師の処方意図をくみ取り、総合病院などで医師や看護師、他の医療職の方とコミュニケーションをとり、自己研鑽を続けていると間違いなくアメリカの薬剤師に匹敵する知識を持つ薬剤師と言える。

しかし、新卒1年目となると知識は不足しているため、同じ薬剤師でも天と地ほどの差になる。

知識と経験があれば十分世界でも通用する薬剤師になれることができる、私の海外での薬剤師のキャリアと世界の薬剤師と比較した内容を紹介します。

国際協力をキャリアに選んだ理由

きっかけは画面の向こうの映像

きっかけは、子供の時のテレビに映っていた海外のボランティアの映像だ。その中で日本人の若者が生き生きとしているのを見て、漠然と憧れを持った。

その後は薬剤師の資格を取得し、

国際協力分野で今後の活動を考えると公衆衛生の修士というハードルがあり、長崎大学熱帯医学の大学院を受けたが落ちてしまった。

そのときに同時に国際NGOも受けていて、そちらが受かったので人道支援として国際協力に携わる道を選んだ。

Teitaka

生き生きとした若者の映像は今でも忘れません

海外の薬剤師は地位が高い

海外では薬剤師はエリートである、私が派遣されていたアフリカでは、薬剤師の位は3種類あります。

Pharmacist

Pharmacy technician

Pharmacy assistant

Pharmacistになれるのは、高校で成績がトップクラスだった人しかその大学へ行くことが出来ません。(人気の職業の医師も同じように成績が優秀な人しか医学部へいけません、日本のように受験ではなく、高校の時の成績がそのまま反映されるイメージ)

ほとんどの人は、technicianやassistantから始まり、実務経験を積み、昇格していきます。

しかし、3つのうちどの職もやっていることはほとんど変わらず、給与のみが異なるといった少し納得ができないものです。(日本でも仕事のできる調剤事務さんも仕事ができない薬剤師と給与が違うのは納得が出来ない話ですが。。。)

地方の病院にはPharmacistがいなく、首都の病院にしかしっかりとしたスタッフはいませんでした。

調剤事務員

あの薬剤師より、私の方がいろいろ考えて仕事ができるのに給与が倍近く違うのは納得できない

JICA海外協力隊の活動内容

薬剤師の要請内容

海外でのボランティアといえば、JICA海外協力隊です。ボランティアのため、無給でアフリカなどの発展途上国で技術協力などの支援活動を行い、経済の発展や友好関係の構築に寄与します。

Teitaka

無給とはいえ、現地生活費は支給されるよ

薬剤師の要請はJICA HPで確認することができますが以下は一例です↓

・病棟業務と、今後導入する医療品安全監視制度薬剤情報センターの設置・運営を支援します。日々の業務の中で同僚の能力が向上するよう支援します。

・薬剤師のいない一次医療機関にて、薬の適切な在庫管理方法を提言し、実践します。 又、同僚看護師へ正しい薬学知識(医薬品の有効性と安全性、小児患者への適切投与量など)の指導を行います。

・薬局及び医薬品管理倉庫担当者と協力し、医薬品の適切な管理と処方を推進するため、在庫管理・処方システムの改善を提案し、実施を支援します。併せて薬局・倉庫を中心に5S推進活動を行います。

アフリカでの活動内容

私は実際にアフリカの地方病院で5S-KAIZEN活動を行いました。

整理整頓の習慣がない職場でいかに効率を考え、業務内容の改善を図るというものです。

5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの頭文字をとったものです。以下が実際の活動結果です。

アフリカでの5S活動前と活動後の比較

現地スタッフと同じ業務を行い信頼を得ることは難しかったですが、成果として5Sが浸透したと感じられたときは達成感がありました。

アフリカの薬剤師も優秀な人が多く、医薬品の知識はもちろん、病院には一人しかいないので責任感やメンターとしての役割を担っており、学ぶことが多かったです。

活動中に感じたこと、学んだこと

医療システムの違い

発展途上国の医療情勢はお世辞にも整っているとは言えません。

国民に医療費を支払うお金が十分にないため、国営の病院はすべて医療費が無料である。医療費が無料であるが医薬品に限りがあるため、その供給は他の国やNGOなどの援助に頼っており、在庫切れは日常茶飯事であり十分な医療を提供することができません。

その中で、必要な医薬品を陳列させ、どの薬が在庫切れを起こしているのかわかりやすくすることが重要だ。

文化を尊重し、自分の意見を押し付けない

日本でも同じことがいえるが、職場に来た新しいスタッフがいきなり今までのやり方は効率が悪いからやり方を変えてみましょうと言われたらどう思うでしょうか?

Teitaka

はーい。今までのあなたたちのやり方効率悪いから、変えていくよー!

めちゃくちゃ感じが悪く、反感を買うのは必至です。

さらには違う国の言語も異なる人から拙い英語で言うとニュアンスも変わって伝わってしまいます、多くの人がこの段階で頭を悩まします。

そのときに実践して、結果が良かったのが

”相手と同じ視線に立ち、一緒に行動する”です。

そうすることにより、お互いの理解が深まり、活動がスムーズに行うことが出来ました。

活動は根付いたのか?

国際NGOに就職し、同じ国へ再度派遣された際に活動していた病院へ訪問しました。

そのときにまだ当時の活動の跡が見受けられた時は嬉しかったです。

整理整頓は完璧とは言えないが、当時と同じスタッフが同じように働いているのを見れて、少しは自分の活動が意味のあるものであったと感じられました。

人道支援における国際NGOの薬剤師の役割

人道支援と行う団体は、日本赤十字【redcross】、国境なき医師団、save the chirdren、ジャパンハート、USAID、UNAID、国連組織のWHO、ユニセフ、など様々な団体があります。

災害や内戦が続いている場所での医療の適切な提供、薬剤師として適切な医薬品や医療物資を適切な場所へ配備できるように発注と納品、医薬品の適正使用についてアナウンスを行う。

国際NGOの薬剤師に必要なことは?

様々な国のプロフェッショナルとチームを組み、一つのプロジェクトを遂行するやりがいがあるが責任を伴うため、薬剤師としての経験や異文化の中でお互いを尊重する姿勢、食に無頓着である必要があります。

契約期間内に引き継ぎ、業務、次の人への引き継ぎというタイトなスケジュールの中やり遂げないといけないのが大変です。

医薬品はオーダーしてから現地に届くまで6ヶ月以上かかり、多くのステップが必要です。

国によって入手できない医薬品があるため、他の医療スタッフにも現状を理解してもらうように交渉や説得が必要です。

海外の薬剤師は当然ながら、語学力が秀でており、さらにPCスキルやコミュニケーションを円滑に行えるように頭の回転も速かった印象です。

しかし、私の医薬品に対する知識は海外の薬剤師と比べても遜色がなく、自信を持って活動を遂行することが出来ました。

海外生活よくある質問 Q&A

海外で危険なことはありましたか?

交通事故が多く、日本のように速度の取り締まりも頻繁に行っていないため、海外では交通事故が多くあります。ぼろい車や定員以上のバスには乗らないように心掛けをしていました。

蚊を媒介とするマラリアの感染には十分に気を付ける必要があります、夜は蚊帳を張って就寝したり、予防薬をスケジュール通り接種していれば問題ありません。

感染症、小さな傷から感染し、傷跡が腫れてしまう日本人が多いため少しの傷でもしっかりと消毒しておくことが大事になります。

ゲテモノは何を食べましたか?

ネズミを食している現地人もいましたが私は食べることができませんでした。

日本でも食べることができるワニのからあげなどは美味しくいただけました。

現地人が好物の乾燥したネズミ、タンパクの補給にもってこいらしい

海外で驚いたことは?

講習を開くと、受講者から食事や金銭を要求される

これは、発展途上国ではあるあるのことだが、援助をする側は自分たちのやることを広めたいため、お金や食事などで人を集めることを昔から行ってきており、それが当たり前のこととして浸透してしまっている。

日本のように休みの日にお金を払って受講するという考えは毛頭ないため、発展途上国の問題点のひとつだと思ったがそれも文化の違いだと納得しないといけないことなのかもしれない。

病院の薬を売って警察が動きだす

国営の病院は、医療費が無料のため当然医薬品のお金もタダです。

しかし、前述した通り在庫がいつもないため、せっかく薬局にきても医薬品がないため町の薬局へ買うように促すことしかできません。

そのような事情を知っている病院スタッフが薬局から医薬品や医療物資を盗み出し、町で売り出していた事件が起こり、警察が捕まえ裁判にも発展することがありました。

語学力は?

英検2級程度語学力で海外NGOで十分に働くことができました。

しかし、2時間ぶっつづけでの英語の面接をクリアしたりそれなりに”英語を話せる”ことが国際NGOで働く最低条件なのかもしれません。

海外で活躍したい薬剤師に伝えたいこと

薬剤師向け

海外へ行くメリット、デメリットをよく考えてください。海外に数年いるだけで、日本にいる家族や友人との大切な時間が空白になってしまいます。

インターネットが普及した今では連絡をしやすいため、”距離”を感じることは少ないかもしれません。

しかし、日本での災害時などいざというときに行動することが出来ないため、しっかりと覚悟を持つ必要があります。

【メリット】

英語を話せるようになる

異文化を理解

人との新しい出会いがある

【デメリット】

帰国後の就職活動で必ずしも優位になるとは限らない

日本で働き続けると昇格したかもしれない

日本の医療に遅れる

Teitaka

言葉がわからなくても医薬品の一般名は同じのため、医薬品を覚える必要はありません。一般名を使ったコミュニケーションは薬剤師ならでは!

学生向け

今後海外で働きたい人へどのような戦略を取ればいいのか。周りの人には異分子扱いされますが、それも当然同じ集団の中で皆が同じ方向に向かって進んでいる中別の方向に進んでいたら目立つし、違和感しかありません。

しかし一旦社会に出てしまえば皆が何をしているのか気にしている暇さえありません。目標を高く持っているのであれば、就職活動は早めに終え語学学習に力を入れましょう。

海外では日本のように多くの薬剤師同僚がいることはありません、何かあった時に頼れる人は自分だけです。薬の質問や病態についての確認、医療器具などの知識が必要になり、自分の判断で全て決めなければいけません(当然上司に判断を仰いだり、色んなツールや顧問薬剤師などから情報を収集します)

そのため、一般的な医療の基礎知識が必要であり、どのNGOやJICAも募集要項に総合病院での経験が不可欠となっています。様々な経験の中で自分の知識や周りとのコミュニケーションを取る術が必要であり、5年程度の経験も不可欠となっています。

私の場合も、総合病院での抗がん剤調整部門のリーダー、調剤室のリーダー、そして病棟担当のリーダーをそれぞれ担当させていただき、その都度業務の難しさは感じられたがどのようにするれば乗り越えられるのか考えながら試行錯誤を繰り返した経験が海外での活動にも活かされています。

特に病院内でも調剤室に篭りがちな薬剤師ではなく、色んな委員会に参加したり、病棟担当として医師や看護師、そのほかの医療職の方と信頼を作れるような薬剤師になると今後のキャリアの幅がとてつもなく広がります。

まとめ 海外でも日本の薬剤師の経験は役に立つ、自分のためにも将来を見据えたキャリアプランを設計しましょう

私自身、JICA海外協力隊の2年間の活動は何よりにも代え難いものとなっています。

国際協力と人道支援は、同じようでもあり異なることでもあります。どちらにしても異文化を尊重し受け入れる姿勢が重要です。

日本の薬剤師経験は海外の薬剤師と比較しても遜色なく、十分世界に通用します。

これから、海外で薬剤師として活動したい人も海外から帰国してきた薬剤師の方も、今後のキャリアに悩んだら一度、薬キャリAGENTに相談しましょう。

私自身帰国後は、薬キャリAGENTに登録し、語学力の向上や2年間の異国での生活を今後の業務に繋げることをアピールし、前職より高待遇の求人を提案していただきました。

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Teitaka
薬学部を卒業後、調剤薬局、総合病院の勤務を経て30歳を機に海外で働くことを決意、海外経験なし、語学力もなし。 そんな自分が試行錯誤を繰り返し、国際NGOで働けるまでに語学力をup。しかし現在でも英検2級程度の実力。さらなるレベルアップを目指し、次への目標を定めて今一度本格的に英語学習を再開。その備忘録をここに記します。 薬剤師として国内、国外で働いた経験を活かして転職についてもアドバイス。 【経歴】 ・6年生薬学部一期生 ・病院薬剤師: ケモ担当、病棟薬剤師管理者 ・調剤薬局: 管理薬剤師、薬局長、支局補佐 ・国際NGO: 薬局管理者