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【調剤薬局】一人薬剤師はきつい10の理由と5つのメリットを経験者が解説

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転職をする際に、「一人薬剤師だけど処方箋枚数は少ないし、給料はいいからゆっくり働けますよ」と転職エージェントに勧められたことはありませんか?

薬局を開け、レセコンや分包機を起動させ、コピー機の用紙を補充し、ファックスやメール、予定の一包化を確認。前日にやり残した業務や在庫のチェックはもちろん、発注漏れがないか今一度確認し、一日の準備をすべてあなた自身ですることになります。

一人薬剤師は、メンタルが折れることが多々ありますが誰も助けてくれません。私も一人薬剤師で何度もつらい目に合いました。とくに患者さんが多いときのクレーム対応は地獄です。

Teitaka

今回は、転職エージェントから一人薬剤師の求人を紹介された人へ向けて業務の大変さと現在一人薬剤師をしている方へ今後のメリットをご紹介します。

失うものも大きいですが、得られるものも大きい、ハイリスクハイリターンの転職先なのでご自身でよく考えてから判断してください。

一人薬剤師のきつすぎる10の理由

  • すべてを一人で背負わなければいけないプレッシャー
  • 患者数が3人待ちになるとハラハラしてしまう
  • 好きな時にトイレに行けない
  • 休憩時間はあってないようなもの
  • 希望休が皆無
  • 分譲(他薬局からの買い取り)にも行けず、処方箋を返却
  • クレーム対応時の手助けがない
  • 残業が多い、誰も手伝ってくれない
  • 売り上げは少ないため、融通が利かない
  • 1日40枚処方箋が超えても人員補充がない

すべてを一人で背負わなければいけないプレッシャー

すべての業務を一人で担わなければいけません。

朝の準備から、患者対応、入力、調剤、監査、投薬、会計、在庫管理、締め作業。どれも必要な作業であり、手が抜けません。そして月に一度のレセプトや返礼処理など事務さんがいればやってくれることも自分自身で行わなければなりません。

他のスタッフと分担することができないため、常にプレッシャーを感じながら業務にあたるため調剤過誤のリスクが高く、対応策を講じる必要があります。

Teitaka

処方監査→ピッキング→入力→監査を行うなど、意図的にセルフダブルチェックでミスを減らすフローを考える必要があります。

患者数が3人待ちになるとハラハラしてしまう

患者さんが一人ずつ来局し、会計が終わった後に次の方が来局すれば1日40人来ても問題ありませんが、連続で患者さんが来局し、薬局内に3-4人待っている状態になってしまうと頭が真っ白になります。

どのくらいの時間で準備できるのか事前に伝えて、待っていただくか後から来てもらうか決めてもらうしか方法がありません。

Teitaka

患者さんが多いときに限って、疑義照会が必要になります。

好きな時にトイレに行けない

薬局に誰もいないとなると、クレームの原因になります。

薬剤師が一人、事務員が一人いる場合は、患者対応は事務員に任せることができますが、完全に一人薬剤師の場合は、自由にトイレに行くこともできません。

”只今薬剤師は席を外しております”と張り紙やポスターなどで知らせる必要があります。

Teitaka

お腹の調子をこわしやすい人は向いていないね

休憩時間はあってないようなもの

労働基準法より、6時間以上働く場合は45分以上の休憩を取ることが義務付けられています。(厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係より抜粋

しかし、実際に休憩中であっても電話対応や急な患者さんや製薬会社の訪問など予期せぬ業務が降りかかってくることもあります。

完全に一人薬剤師の場合は、しっかりと会社側に交渉すれば休憩時間は薬局を完全に閉めることもできるので本当につらいと感じている場合は、休憩時間を導入できるように上司にかけあってみましょう。

希望休が皆無

基本的に管理薬剤師として勤務することになるので、好き勝手に休みことは難しいでしょう。

応援のスタッフが入れる日を指定される場合がほとんどです、2連休を取りたい場合は前もって上司に交渉する必要があります。

ブラック企業の場合は、希望休すら取得できないのでそのような職場は避けてください。

分譲(他薬局からの買い取り)にも行けず、処方箋を返却

在庫がないため、調剤を断ることは簡単ですが、来局してくれた患者さんに薬を渡しすぐに薬物治療を開始してもらうのが薬剤師としての職責です。

しかし現実的には約2万5千品目ある薬剤をすべて薬局に在庫させることは不可能です。

近くの薬局に在庫があればそちらから購入し、患者さんに渡すこともできますが、一人薬剤師だと薬局から離れることができないため、泣く泣く他の薬局へ促すことになります。

これはクレームにもつながるので近隣の医療機関の主な処方は在庫しておきたいですね。

クレーマー

あら、薬局なのに薬がないなんておかしいわね。

クレーム対応時の手助けがない

仕事をしていると避けては通れないクレーム対応。いくら100%の仕事をしていても、感じ方は人それぞれなので、”癇に障る”ことは起こりえます。

一人薬剤師の場合は、クレームをすべて一人で受け止めなければいけないため、神経がすり減ってしまいます。

Teitaka

クレームを受けているとき、あまりにもひどくて他の患者さんが「ちょっと言いすぎよ」と間に入って助けてくれました。

責任者を出しなさいと言われる場合は、自身が管理薬剤師の為対応をしなければなりませんが、それでも治まらない場合はエリアマネージャーや社長などの管理職が出る必要があり、その際に積極的に手助けをしてくれるような上司がいない場には働かない方がいいでしょう。

必ず、クレーム対応フローは確認し、自分で対応できないときの誘導先を把握しておきましょう。

残業が多い、誰も手伝ってくれない

薬剤師が一人だとその日の指導記録は自分一人で書き上げる必要があります。患者数が多いのは喜ばしいことなのか、残業が増えるので悲しいのかわからなくなってしまいます。

特に新規開局の場合はすべてをイチから準備をする必要がありますし、引継ぎの場合は十分な期間がないと様々なマニュアルや書類を探しだす必要があり、年に一度の報告書などを探す際に勤務時間外の残業が生じる可能性があります。

売り上げは少ないため、融通が利かない

一人薬剤師の店舗売り上げはあまり期待できません、売り上げがないところに本部からの支援を見込むことはできないため、売り上げを上げるためにはさらに忙しくしなければいけないというジレンマが生じてしまいます。

一人薬剤師

一包化の患者さんが多いので自動分包機を導入してくれませんか?

エリア
マネージャー

ここの売り上げいくらか知ってる?

分包機買っても採算が合わないから無理だよ

一人薬剤師

そうですか。。。。(自分で一人薬剤師の大変さをわかってからものを言えー!)

1日40枚処方箋が超えても人員補充がない

一人薬剤師がきつすぎて、人員を追加してほしい場合は、すぐに補充してくれると思ってはいけません。

40枚以上の処方箋があっても1日だけ超えても意味はありません。悲しいことに平均処方箋枚数が40枚を超える必要があり、休日や門前が休みの日にも開局しているような薬局はそうそう処方箋枚数が規定よりも超えることはありません。

もし本当に人員の補充が必要な場合は、売上を算出し、もう一人追加しても赤字にならないように数値で証明する必要があります。

Teitaka

1カ月で、営業利益が300万円なので、一人薬剤師を加えても黒字です!

一人薬剤師の数少ないメリットとは?

  • 知識の習得率が尋常じゃない
  • 一人でのんびり働ける
  • 転職で優位性を獲得

年収が高い

一般的に言われているのは、一人薬剤師の募集がかかっているところは人手不足が深刻であり、年収600-700万円ほどの求人は多くあります。地方によってはさらに高い年収を見込めます。

グループ薬局の場合は、店舗で給与を変えることはなく多くても年収600万円ほどのため注意する必要があります。

知識の習得率が尋常じゃない

薬剤師一人ですべてを運用しているので、会計や保険請求など事務員がしていることもすべてやりきる必要があります。やらない薬局が営業できないため、どうにかすべての業務を覚えることができます。

また門前の病院と交流をもつことができれば、疑義照会もスムーズに行うことができます。医師との交流も深めることができるので、専門分野の検査や療法などの知識も習得することができます。

Teitaka

話のわかる先生だと、出荷調整品の処方を制限してくれて助かります。

一人でのんびり働ける

処方箋枚数が少ないことが前提ですが、自分のペースで他のスタッフに急かされずに働くことができます。

個人薬局で処方箋枚数が少ない薬局は経営上あり得ないですが、グループ店であれば、少ない処方箋枚数の薬局も存在します。しかし少ない枚数ままであれば将来的には閉めたり、他のプロジェクトが始動することが考えられます。

Teitaka

職場の人間関係に疲れた人なら、最適かもしれません。

患者さんと密なコミュニケーションを取ることができる

複数薬剤師が勤務していると、なかなか同じ患者さんの投薬を担当することがないため、かかりつけ薬剤師にでもならないかぎり、継続的なフォローは難しいですが、一人薬剤師だとすべての患者さんの担当になることができるので継続的にフォローすることができます。

かかりつけ薬剤師の獲得にもつながるので、より患者さんに寄りそった薬物治療を提供するには最適な環境です。

転職で優位性を獲得

一人薬剤師の経験は、転職後でも即戦力として働くことが約束されているようなものなので、引手数多でしょう。

転職の際は、積極的にアピールするべきポイントになります。

Teitaka

前職は一人薬剤師で新規個別指導も行ってきたので、なんでもできますよ!

転職の際にコレがあれば一人薬剤師でも頑張れる

一人薬剤師でもなんとか余裕をもって働くことができるだろうと思うシステムが以下の5点です。

  • 入力はQRコードで自動化、AI導入で疑問を即解決スムーズな投薬へ
  • 会計は自動レジシステムで締め作業もスイスイ
  • 発注システム自動化、卸との関係は良好で即配達可能
  • 事前処方箋送信システム搭載、在庫がない場合は後日配送
  • 門前病院との関係が良好

どれも実際に薬局に導入されているシステムなので、すべて備えている薬局は従業員への配慮が行き届いており、ホワイトな会社だといえます。転職する際には、この点についてもエージェントに確認してみましょう。

入力はQRコードで自動化、AI導入で疑問を即解決スムーズな投薬へ

一人薬剤師で一番の壁となるのは、処方箋の入力です。

新卒の場合は、保険請求や加算に関する知識がないためいきなり一人薬剤師として勤務することは不可能です。最低でも1年以上の勤務経験が必要になります。

現在ほとんどの医療機関で発行される処方箋にQRコードがついているのでそれを読み込めば保険証の情報や処方内容が自動的にレセコンに入力されます。

しかし、加算や自費処方、労災などの特殊なパターンにはうまく対応することが難しいのでその際にAIに質問をすればすぐに適切な指示を出してくれれば一人でも問題なく対応することが可能になります。

現在開発されているAIシステム

薬師丸賢太:調剤薬局向け処方箋入力システム(https://www.yakumaru.ai/

まもる君:調剤入力支援AI(https://medilab.co.jp/

会計は自動レジシステムで締め作業もスイスイ

新しい薬局では、自動レジが主流ですが、コストがかかるため既存の薬局では導入があまり進んでいません。

残業時間が増える要因として、最後の締め作業時に発覚するレジ金との誤差があげられます。これは、終業時にしか気づくことが難しく、患者数が多いとすべての会計を確認し、必要に応じて返金や追加徴収が必要になります。

自動レジシステムを利用すれば、金額の受け渡しの間違いを完全に防ぐことができるため、人為的エラーによる残業時間を減らすことができます。

Teitaka

患者さんに改めて追加で金額を徴収するのは、本当につらかったです。。。

発注システム自動化、卸との関係は良好で即配達可能

在庫システムがレセコンと連動し、在庫数が発注点を切れば自動的に発注すれば発注漏れもなくなります。

また、卸の午後便受付時間と連動し時間前に自動発注するように設定すれば、午後には不足薬を納品することができ、患者さんが薬物治療を遅れることなく開始することができます。

発注先である卸との関係が良好であれば、担当者が持っている出荷調整品を優先して納品してくれたり、欠品や再開品などの流通情報が入ってきます。

Teitaka

今は難しい”急配”も対応してくれる神卸がいるかも

事前処方箋送信システム搭載、在庫がない場合は後日配送

今やアプリと連動し、薬局へ行く前に処方箋を事前に送付することができる薬局がほとんどです。

在庫がない場合はアプリを通じて患者さんに連絡することができ、薬局の負担を軽減し患者待ち時間軽減に大いに貢献しています。

薬局が独自に配送会社と契約している場合は、在庫がない場合の後日配送も簡単に手続きができます。

門前病院との関係が良好

薬局業務で一番重要な要素である門前病院との関係が良好であれば気軽に質問やお願いなどをできる環境でよりよい関係を継続して築くことができます。

薬局側も病院からの依頼には真摯に取り組み、お互いが患者さんにとって良い関係にあるように努力しているところは良いところと言えるでしょう。

Teitaka

関係が悪化すると修復することは難しいため、事前に確認が必要です。

一人薬剤師は向き不向きがあります

頼れるスタッフが近くにいないため、いくら処方箋枚数が1日20枚でも、薬剤師4人で処方箋枚数が1日160枚の方が断然働きやすいです。

知り合いの薬剤師も意気揚々と一人薬剤師の薬局でのびのび働いていましたが、希望休が取れないのと、クレーム対応時に上司が助けてくれず、心が折れ退職してしまいました。

ひとりでなんでもこなせる強靭なメンタルと優先順位を素早く決め行動できる力がないとおすすめはできません。

まとめ 一人薬剤師はつらいが次の転職までの修行だと思えば価値はあります

一人薬剤師を経験したことがない人にとっては想像以上の業務負担が大きいので、給与が高いといって軽々と転職を決めるのは時期尚早です。

しっかりとメリットとデメリットを鑑みて決めましょう。

現在、一人薬剤師として働いている人は大変さを身に沁みいているでしょう。しかし、転職をする際には強い武器になるのでそのときまで吸収できることはすべて学びましょう。

どちらにしても一人薬剤師の薬局では継続的に働くところではなく、修行の場としては薬剤師として一皮むけるためにも最適な場と言えます。

\仕事以外での必需装備、自分を守る保険!/

ABOUT ME
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Teitaka
薬学部を卒業後、調剤薬局、総合病院の勤務を経て30歳を機に海外で働くことを決意、海外経験なし、語学力もなし。 そんな自分が試行錯誤を繰り返し、国際NGOで働けるまでに語学力をup。しかし現在でも英検2級程度の実力。さらなるレベルアップを目指し、次への目標を定めて今一度本格的に英語学習を再開。その備忘録をここに記します。 薬剤師として国内、国外で働いた経験を活かして転職についてもアドバイス。 【経歴】 ・6年生薬学部一期生 ・病院薬剤師: ケモ担当、病棟薬剤師管理者 ・調剤薬局: 管理薬剤師、薬局長、支局補佐 ・国際NGO: 薬局管理者