薬剤師

【2025年新卒】企業(調剤薬局)研究のやり方、上場3社してみてわかったことを解説

転職や就職をする場合に重要なものが企業研究ですが、薬剤師業界ではあまり重要視されていませんでした。

しかし、今後の薬剤師の生存戦略の一環としてしっかりと企業(薬局)研究を行い、自分の理想にマッチした就職先を選ぶ必要があります。

企業研究することにより、自分の希望を確認するとともに面接対策にもなり得ます。

薬学生の方には今後の就活のためにも役立ちますのでご一読ください。

Teitaka

薬局はどれも同じかと思いますが、意外に異なる点が多いので企業研究は面白いです!

企業研究の仕方 分析シートテンプレートを無料配布

企業研究とは、関心のある企業(薬局)について詳しく様々な面から調べ、その企業の本質を明らかにすることです。企業の事業内容、他社との違い、業界での立ち位置、動向などを調べます。

以下のテンプレートに沿って進めてみましょう。企業ホームページやインターネットを利用すれば比較的簡単に入手できる情報ばかりです。

\以下のダウンロードボタンから無料で利用できます/

【記入例】

企業名 ●●ホールディングス
上場 東証一部上場
本社 東京都
事業内容 調剤薬局事業、化粧品
設立 1800年
資本金(手元の資金) 500億円
社員数 6000人
売り上げ売上高 1800億円、経常利益300億円
平均年齢 30歳
離職率 13%
初任給 32万円
勤務時間 週40時間、変形労働制
福利厚生 育休、時短制度、借り上げ社宅制度(2割負担)
昨年の採用人数 300人
企業理念 社員第一主義
同業内の強み・弱み強み:調剤売り上げ年間1位
弱み:離職率が高い、OTC売り上げが低い
震災時の対応R6年能登半島地震時の対応
自社の店舗をいち早く復旧し、地域震災医療に貢献した。  
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企業研究のタイミングは、就活・転職先の選択、面接時の対策、志望動機の策定のときです。

上場の有無

上場をしている場合、株主への情報公開が義務付けられるため、IR(Investor Relations)などから企業の離職率や採用人数、財務状況を見ることにより、今後も存続していくことができるのか知ることができます。

中小企業と違い資金力が桁違いのため、福利厚生などにも力を入れています。

本社の場所

本社が東京の中心部にあると家賃などの莫大な金額必要になります。立派な自社ビルがあるのはいいことですが、本当に患者さんや社員のことを考えているのであればなぜそのような点に資金を使うのかしっかりとした理由がなければ、信頼度が下がってしまいます。

事業内容

調剤薬局はすべて同じような事業内容かと思いますが、比べることによりその違いが見えてきます。

上場企業3社の比較は以下をご覧ください

設立年・採用人数

企業が下記のどの位置にあるのか知ることができます。

新卒社員が大量に採用されているようであれば、安定しているといえます。

反対に、新卒は減りつつ、中途社員の採用に力を入れているようであれば、立て直しが必要なケースもあるため、経年の変化、企業の動向に注視しましょう。

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1店舗に毎年新卒者が1人入職してくれるとありがたいですね。

企業の経年変化

黎明期:設立して間もないため、事業をリードしていく指導者的な人材が必要

成熟期:業績が安定しており、新卒などの若手を積極的に採用し、基盤を固める

停滞期:業績が下降気味で、てこ入れのために中途社員の確保に努める

資本金

利益に影響しないため会社そのものがどのくらいのお金を持っているのか把握することができます。

いくらあればいいのかよくわからないため、ここではざっと3億円以上あれば大企業とみなします。

売り上げ(売上高、営業利益、粗利)

表記により意味合いが全くことなります。学生のころからココに注目できる薬剤師は貴重な人材になります

売上高:企業の売り上げそのものを表します。

粗利:商品などの減価を引いたもの、売上総利益とも呼ばれる

営業利益:粗利から、宣伝費や従業員の給与、家賃などの管理費を差し引いた薬局店舗の利益(ココが重要)。新店の場合は赤字が多いため、何年で黒字になるのか試算してみましょう。

経常利益:営業利益に本業以外で得た収益を加え、費用を差し引いたもの。真の企業の利益

Teitaka

薬局長や管理薬剤師は、自店舗の営業利益はしっかりと毎月把握しよう!

平均年齢

初任給

新卒の場合は比べることができますが、中途の場合はあまり判断することはできません。基本給と職務手当、賞与を総合的に加味し、年収を計算しましょう。

中途転職者は、ご自身の経歴に応じた年収を転職エージェントに聞きましょう。

転職紹介手数料はいくら必要?転職エージェントを完全無料で利用できるからくりとは?

勤務時間

店舗ごとに違いがあるため、終業時間は必ず確認しましょう。

門前が総合病院などの場合は、忙しいですが、17:00など早めに就業するところが多いです。医院やクリニックが門前の場合は19:00など遅めに終了するケースが多いです。

福利厚生

育休取得率については上場企業であれば内情を公開する義務があり、今後は男性でも容易に取得できます。

白衣のクリーニングの有無は仕事をするうえでネックになります、必ず確認することをおすすめします。

企業理念

社長の理念を知ることができます、面接をする場合には必ず目を通しておきましょう、入社してから覚えさせられることもあるので自分の信念と一致していることが大事です。

同業内の強み・弱み

比較事項を記載することにより他社と容易に比較できます。

特に調剤薬局では取得が困難とされている専門薬剤師の取得実績があると良いでしょう(取得者がいても取得できるとは限りません)

震災時の対応

災害時の対応についてしっかりとシステム化されていると社会に対しても信頼できる企業になります。

Teitaka

企業研究のゴールは、自分の言葉で会社の取り組みや強みを説明できるまでです!家族や友人に試してみましょう。

上場調剤薬局グループ企業3社を研究してみた

アインホールディングス(アイン薬局)

企業名アインホールディングス
上場プライム市場、札証
本社北海道札幌市
事業内容調剤薬局・コスメ&ドラッグストアの経営、ジェネリック医薬品の卸売販売、化粧品の販売、売店の経営等、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営
設立1969年
資本金約218億円
社員数14147人(薬剤師6331人)
売上げ売上高:約3215億円 経常利益:約170億円
平均年齢36.2歳(2022年)
離職率7.0%(薬剤師 2022年)
初任給月給270,000円~370,000円 (薬剤師手当、社員区分手当を含み、残業手当・通勤手当等は別途支給)
※週40時間勤務の場合 平均年収532万円(2022年)
勤務時間9:00〜18:00(薬局営業時間により異なる)
※シフト制で週32、40時間などの勤務から選択
福利厚生借り上げ社宅(8割負担、勤務体系による)、引っ越し支度金(4万円)、帰省休暇(5万円、4日連続)、白衣貸与(クリーニング不要)
昨年の採用人数543人(薬剤師 2023年)
企業理念ファーマシー事業では、高齢化や医療の高度化を背景に変化する「求められる薬局」のあり方に応えられるよう、薬局機能や薬剤師の専門性の強化、多職種との連携、公式アプリを通じた新たな技術の活用等を行っています。リーディングカンパニーとして、患者さま一人ひとりの想いに寄り添い、「地域医療への貢献」へと繋げてまいります。   グループスローガン:美しい意志をもとう
同業内の強み・弱み強み:調剤薬局首位、システムが統一している。育成にも強い信頼。専門薬剤師も取得可能 全国展開により、幅広い層の患者さんと接することができる、日本全国の地域性や方便も学ぶことができる。→今後の将来を見据えた患者対応に貢献できる。    

弱み:2023年に薬局整備をめぐる問題があり、中核子会社社長の逮捕(引用 会社四季報2023年)。→強みにもなる、今後に注目すべき
震災時の対応R6年能登半島地震時の対応 https://www.ainj.co.jp/news/notice/003133.html  
店舗数1209店舗 プラスマイナスなどあり

興味を持った理由:日本をけん引するアイン調剤薬局でイチから薬剤師としての仕事を学びたい。調剤薬局で専門薬剤師を取得したい。

自己PRポイント:コミュニケーション、全国各地へ行ってもスタッフ、患者さんと仲良くできる自信があります。(具体例があればOK)

【社員の声 一部変更】

所属部署:薬剤師

勤務年数:3年未満

自社の特徴:店舗が多く、安定している。結婚などで異動の場合も全国に店舗があるので働き続けることができる。企業的にはホワイトだが残業があまりないため、給与は低い

【説明会の雰囲気(薬学生)】

・人事の説明は明瞭でわかりやすかったがどの店舗の配属によるかでキャリアがある程度決まりそうな感じがした。自分の目標を早めに策定し、上司に話をすることが重要と感じた。

https://www.ainj.co.jp/corporate

アインホールディングス 企業情報

日本調剤株式会社(日本調剤薬局)

企業名日本調剤株式会社
上場東京証券取引所プライム市場
本社〒100-6737東京都千代田区丸の内1-9-1  
事業内容調剤事業、産休・育休応援制度。2011年3月には、他社に先駆け、北海道から沖縄県に至るすべての都道府県で出店を果たしました
設立1980年
資本金39億円
社員数6478人(薬剤師4342人)
売上げ売上高3113億円
平均年齢33歳(リクナビ調べ)
離職率7.8%(2022年)
初任給280,000〜410,000円
※ 薬学部・6年制卒 資格手当(薬剤師)、地域手当を含む。
勤務時間1日実働平均8時間(平均週40時間のシフト勤務)
福利厚生薬品使用料支給制度(本人と扶養家族は薬代が全額補填される制度)・長期収入ガード(GLTD)、借り上げ社宅制度
昨年の採用人数335人(薬剤師)
企業理念「真の医薬分業の実現」
同業内の強み・弱み強み: 調剤2位、関東甲信越の門前薬局が地盤。ホームページが見やすい。業績などしっかりと記載してある印象。e-learningの「15ステップアップ研修」で教育に力を入れている。経営陣に先見の明がありリーディングカンパニーとして今後の調剤薬局業界をけん引していく。病院の低収入をカバーする病院派遣制度がある。

弱み:店舗数が多いため、個々の店舗レベルは一定ではなく管理薬剤師・薬局長のスキル次第 、ノルマがある。
震災時の対応R6年能登半島地震時の対応 https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20240123_nr1/  
店舗数742店舗(2024年5月)

興味を持った理由: 奨学金があり返済をサポートしてくれる制度がある、家賃補助も手厚い。専門薬剤師に興味がある、数値目標を達成したい

自己PRポイント:コミュニケーション、全国各地へ行ってもスタッフ、患者さんと仲良くできる自信があります。(具体例があればOK)

【社員の声 一部変更】

所属部署:薬剤師

勤務年数: 10-15年

自社の特徴:トップダウン、利益優先。病院派遣制度は魅力的。慢性的な人手不足。

https://www.nicho.co.jp/corporate

日本調剤 企業情報

スギホールディングス株式会社(スギ薬局)

企業名スギホールディングス株式会社(スギ薬局)
上場東証プライムおよび名証プレミア
本社愛知県
事業内容ドミナント出店、スポーツクラブ、介護、薬局、自治体などのヘルスケアに関わる機関の協力を通し、健康サポートを強化
設立1982年
資本金154億円
社員数8724人2024年2月、3688人(薬剤師)
売上げ7444億円(売上高)、380億円(経常利益)
平均年齢35.2歳
離職率IRを見ても離職率は年々低下は書かれているが具体的な数値はなし。簡単に見れないのは信頼で低め。10%程度(ホップナビ薬剤師調べhttps://www.hop-job.com/pharmacist/post-475/
初任給313,000円
勤務時間9時~19時までの間で8時間を基本として、4時間以上9時間以内の範囲で勤務計画にて定める
福利厚生社割制度、子育て支援が手厚い(小学6年生まで時短)
昨年の採用人数369人
企業理念スギ薬局グループは、一人ひとりに向き合った人財育成を目指し、「社員の働きがい」「人財育成」「人財確保」「コンプライアンス・風土改革」「ダイバーシティ」「健康・安全」の6項目を柱に人的資本経営を推進。トータルヘルスケア戦略の実現と、経営理念に掲げる「親切な行動」「地域社会への貢献」「社員のしあわせ・笑顔」をとおして持続的な成長に取り組んでいます。
同業内の強み・弱み強み:全国展開、東海が地盤。日本ホスピスHDと資本業務提携、訪問調剤を展開。教育がしっかりしている。  

弱み: 専門薬剤師4名と少人数
震災時の対応調剤支援車あり。
店舗数1220(調剤 併設率84%)

興味を持った理由:家の近くにあり、よく薬をもらう薬剤師さんによくしてもらい、将来はこちらで働きたいと思っていました。

自己PRポイント:コミュニケーション、全国各地へ行ってもスタッフ、患者さんと仲良くできる自信があります。(具体例があればOK)

【社員の声 一部変更】

所属部署:薬剤師

勤務年数: 3年未満

自社の特徴:エリアによって、シフトなどの働き方が異なる。一年目に対しての教育はしっかりと行き届いている。インターンへ行くところは当然ながら数的に余裕があるところでその雰囲気が必ずしも配属先と一致しないことは留意しておくべき。

https://www.drug-sugi.co.jp/company

スギ薬局 企業情報

3社比較、企業研究からわかったこと

企業名アインホールディングス日本調剤株式会社スギホールディングス
売上高3215億円3113億円7444億円
初任給27-37万円28-41万円31.3万円
薬剤師社員数6331人4342人3688人
平均年齢36.2歳33歳35.2歳
新卒採用人数543人335人200-300人
離職率7.0%7.8%10%程度
店舗数12097421220
備考専門薬剤師取得可能日本ジェネリックやファルマスタッフ(転職エージェント)など、薬剤師と関わりのある企業を傘下としている。子育て支援が手厚い

・上場企業はすべて同じようなもの、全国展開しているので異動がある分、女性の場合は旦那さんの仕事の都合に合わせやすい。

・年収は実際の勤務状況に合わせて比較するべき(勤務形態によって差が大きいため)

・人間関係、残業時間は店舗により異なる(見学時に見極める)

・大企業なので数値主義は当たり前だが、教育制度はしっかりしており業務で問題が生じた場合の対応は素早い

まとめ 理想の職場を間違えないようにする企業研究

薬剤師には必要なさそうな企業研究ですが、自分の将来を決める大事な就職活動なのでできることはしっかりと行いましょう。

企業の本質を知り、他社と比べることで失敗しない就職に近づくことができます。

最近ではChatGPTを利用した薬局業務の運用の試みも盛んに行われています。大企業ではシステムの導入に時間がかかるため、興味のある方は新規出店や小規模の企業などにも注目すると良いでしょう。

AIを導入している調剤薬局とは?

\仕事以外での必需装備、自分を守る保険!/

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薬学部を卒業後、調剤薬局、総合病院の勤務を経て30歳を機に海外で働くことを決意、海外経験なし、語学力もなし。 そんな自分が試行錯誤を繰り返し、国際NGOで働けるまでに語学力をup。しかし現在でも英検2級程度の実力。さらなるレベルアップを目指し、次への目標を定めて今一度本格的に英語学習を再開。その備忘録をここに記します。 薬剤師として国内、国外で働いた経験を活かして転職についてもアドバイス。 【経歴】 ・6年生薬学部一期生 ・病院薬剤師: ケモ担当、病棟薬剤師管理者 ・調剤薬局: 管理薬剤師、薬局長、支局補佐 ・国際NGO: 薬局管理者
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